• KLA 国内居住者版

従来のアナログな来館者分析からの脱却によって、 展覧会の企画や集客アップを図る施策の実現を目指す

  • 地方独立行政法人 大阪市博物館機構 事務局 経営企画 課長 佐藤 周平 様
    地方独立行政法人 大阪市博物館機構 事務局 経営企画課 和田 萌 様
    元・地方独立行政法人 大阪市博物館機構 事務局 次長 髙井 健司 様

  • 会社

    地方独立行政法人 大阪市博物館機構

  • 業種

    教育・学術

  • 関連サービス

    • KLA 国内居住者版

大阪市にある6つの博物館・美術館の運営にあたり、施設への来館者の属性や居住地の特定、来館動向の把握等にKDDI Location Analyzerを活用されている大阪市博物館機構様。今回は、導入の経緯や活用方法、利用メリット、今後の展望について、KDDI Location Analyzerの導入に携わった元・事務局次長の高井様、現在、企画や広報施策を実施するにあたり人流データの活用を担当されている経営企画課の和田様、経営企画課長の佐藤様にお話を伺いました。

  • 課題

    • 来館者情報の収集は、観覧券と来館者アンケートが中心だったため、全体傾向を正確に反映しているか疑問だった
    • アンケートは紙媒体を活用するケースが多く、集計に時間や人数がかかるうえに、施設ごとに書式が異なっているため収集データも異なる部分があった
  • 成果

    • 担当者の「感覚」に頼る分析から客観的なデータに基づく分析がスピーディーに行えるようになった
    • 他館のデータを取得することで、自館の戦略に活用できるようになった

日常的な現場での見聞から得られる「感覚」に頼らず、 客観的なデータを基にした情報を活用するために

導入の経緯について

高井様:
大阪市博物館機構の中核事業は展覧会の開催になります。その実施にあたり計画を立てるわけですが、いちばん大切なのはどれだけの集客を見込めるかを想定することです。その際にこれまでは各館が行っている紙ベースのアンケートで来館者の属性等を調べていましたが、回答者に偏りがあるのではないか、果たして全体傾向を把握できているのか、といった疑問がありました。要するに、客観的なデータではなく、これまでの経験や肌感覚に支えられていたのが実情でした。これでは正しい検証・予測は困難ですし、施設を超えた情報共有や議論をすることもできません。そんな課題を抱えていた時に、KDDI Location Analyzer(以下、KLA)の存在を知ったのです。

長年にわたって抱えていた課題の解決、将来的な施策への活用に 効果的なサービスであることを認識

採用の決め手について

和田様:
2025年大阪・関西万博関連事業のマーケティング・プロモーションのプロポーザルにおいて、調査手法として複数社から提案されたのがKLAでした。そこで初めて、KLAは当機構が抱えている従来の肌感覚やアンケートデータの課題を解決できる可能性を秘めたサービスであることを知ったのです。

ただ、採用にあたっては事前に他社のサービスとの比較を行いました。その結果、KLAの強みである、地図上全ての範囲が分析対象であり、なおかつ狭い範囲など指定した場所の数値が取れること、3日前の鮮度の高いデータがすぐに取得できるなど、他社のサービスに比べて圧倒的にメリットが多かった点が決め手となり導入しました。

また、当機構が万博関連事業を展開するにあたり、訪日外国人の来館者数が効果測定の指標として必要になります。その調査にも対応できる訪日外国人版のデータ提供があることも採用の後押しになりました。

佐藤様:
KLAの導入に関しましては、現職中に高井が中心となって進めてきました。現在は、当時から高井と共に動いていた和田が引き継いでKLA業務に携わっている状況です。

どのように活用されていますか?

高井様:
まずは大阪歴史博物館を運用の第一歩として捉え、KLAによる過去のデータ分析と、そのデータを基にした展覧会の企画立案、観覧者数や収入の確保を目指し、その実績をもって他の館においてもKLAの活用を進めていこうと考えました。

その後、当機構が運営している6つの館の各展覧会(特別展)や、年間を通じた来館者の分析や比較にも着手しました。今のところ調査内容は極めてベーシックなものですが、年齢層や性別、来館時間帯の把握、来館者の居住地の分析、年間リピート回数の把握などに活用しています。

実際に運用を開始してみて便利だなと思う点は多々ありますね。従来のアンケートデータでは、時間帯ごとの来館者データが取れていなかったのですが、KLAならどの時間帯に、どういう層のお客さまが来ているのかがわかります。

また、他の国立や公立施設のデータも取れるので、国立の博物館や美術館なども調べてみたのですが、そこで得られたデータは当機構の今後の展覧会の企画やターゲット層を想定する際に、とても参考になると感じました。

マンパワーや時間の削減を実現。客観的なデータの 収集と分析によって戦略的な施策立案へ

導入の成果は?

高井様:
2023年12月から利用を始めたばかりのため、今はまだデータ収集と分析を行っている段階です。そこで得られたデータを活用し、成果に結び付けていくのはこれからですね。ただ、先ほども申し上げたように、すでに多くのメリットを感じています。
例えば、これまでの紙媒体によるアンケートの収集には人数も労力も必要でした。さらにアンケート情報の集計にも時間がかかってしまう。見えないコストがたくさんかかっていたわけです。しかも、アンケートに答えてくださる方にも偏りがあるので、どこまで全体像を捉えた正確な情報なのかがわからない。
ところがKLAを使えば、人数も時間もかけずにすぐにデータを収集できますし、ビジュアル化されたデータがパソコン上で見られるだけではなく、CSV型式でのダウンロードとニーズに応じた加工もできる。これはとても便利な機能だと感じています。
また、これまで実施していた分析との答え合わせではありませんが、客観的な数字が明示されるので企画会議の場などで「これが現実だ」と説得力をもった議論ができる。ここが大きいですね。当機構の課題であった肌感覚に頼る傾向から、客観的なデータに基づく情報共有や議論ができるようになったことが最大のメリットであり、現時点での成果と言えるのではないかと思います。

佐藤様:
われわれの事業は、いわゆるプロダクトアウト型なんです。お客様のニーズがどうあれ、展覧会というサービスを提供するビジネスモデルのため、最大公約数的なサービスを提供せざるを得ない弱点があります。なので、これまではお客様個々の感想やニーズを記入していただく膨大な量のアンケートデータを収集してきましたが、次の企画に活かす、という観点ではあまり有意義な活用ができませんでした。故に、コストと労力の両面から費用対効果が合わなかったんです。その課題をクリアし、博物館・美術館業界の従来の考え方を変えることに効力を発揮するのが、KLAで得られるデータなのだと思います。

【今後の活用について】

和田様:
今後の来館者獲得戦略に向けて、既存のデータ検証と新たな分析視点の導入を図っていきたいと考えています。また、展覧会は数日で終わるものではなく、長期開催の場合は3ヶ月や4ヶ月くらい続きますので、来館者が想定よりも少ない場合には会期中に挽回する施策を考える必要があります。その際に、KLAを活用したデータの収集・分析を通して、集客効果が期待できる挽回策の立案に活かしていきたいと思っています。

さらには、他館や巡回展での先行館の情報を取得することで自館の戦略に活用したり、近隣の商業施設などの人の動向と比較したりすることで、新たな来館者獲得につなげるマーケティング戦略に活用できればと考えています。

佐藤様:
以前は、当機構が運営する6館共通のマーケティング計画がなく、各館単独で実施していました。ビッグデータを活用したマーケティングの経験がなく、まだカルチャーとしても根付いていないのが現状です。ただ、現在は6館共通のマーケティング戦略を立案するという方針を立てました。KLAで取得するビッグデータを活用し、組織のマインドセットを図っていくための取り組みが、まさに始まったばかりです。

(取材月 2024年6月)

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    教育・学術

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